バクという幻獣
夢を見た
今年2回目の夢、いわゆるかいわゆらないか知らんけど準初夢だ。
準初夢で見るべきなのは
一高尾山、二トンビ、三チューヤン
ぐらいなのでしょうか
夢の内容としては、特に面白い点はないのですが、
数年前に大きな岩にマジックで小さな点をつけたという友人が、岩のどこにつけたか忘れたらしく泣き出し、それを30人ぐらいで探しに山奥へ行くというものでした。
今思えば、その山が高尾山であればいいですね。
私は恐ろしく夢を見ません
バブル崩壊後の悪化していく経済や、なんとなく重たい空気になっていく日本しか見ていない世代だからだ!とかそういうことなのかもしれません。
昔々何かで聞いたことがあるのですが、夢を見ないという人も実は夢を見ているけど、それを起きるときに忘れているだけという説もあるそうです。
もしそれが本当ならもしかしたら私の夢は、
・ぐちゃぐちゃで記憶するに至らないほど形を成していない
・起きる直前に検閲されて夢の持ち出しが禁じられている
だいたいはその2択なんだろうなと考えています。
本日はその後者の話です。
私はきっと悲しい夢を見ています。
それを現世へ持ち帰ろうとする私に検閲官が声をかけます。
「あんたぁ、それを現世に持ち帰ろうってのかい?そいつぁ野暮だねぇ...」
ああ、なんて優しい検閲官。
私は家族、友人共に恵まれていたが、まさか夢の検閲官にすら恵まれていたとは。
悲しい夢を見る人はきっと働き者の検閲官ではないのでしょう。
子どもの頃からずっとそう考えていた。
バクという夢を食うやつがいるらしいと知ったのは小学生の頃だったか。
夢を食うなんてなんてファンタジーな!私はそう思った。
なるほど、私の場合は検閲官だったが、昔の人は夢を覚えていない現象をこのような幻獣に置き換えたのか。やるな!とも思った。
それからというもの、バクの虜だった。
家庭科の授業で作るナップサック、ドラゴン柄のドラゴンボーイたちのように。
きっとバク柄があれば迷わずそうしていた。
火を噴くだけの空飛ぶトカゲを空想するより、夢を食うというムーディーな設定がたまらなく良かった。そしてこのフォルムもよかった。黒と白。丸っこいデザイン。実際に存在してそうで、浮世離れしているシンプルさ。無印良品ぐらいにしか出せない味だ。
そう、私はバクが現実に存在する生き物だと知らずに生きてきた。
私がバクが実在すると知ったのは大学生の時だった。
ネットで何気なくバクを検索するとそこに現れるリアルな写真たち。
「何の映画?ハリーポッター?」などと思ったと思う。
動物園のホームページすら堂々と嘘をついている。バクが4匹います!
wikipediaは嘘の情報ばっかりって聞いてたけど、こんな露骨に嘘つくのか!なんだよ分布って!夢の中じゃないのか!?
その焦りとともに高揚感もあった。
私の中ではバクはドラゴンと同類であり、空想上の生物だと思い込んでいたためだ。
ドラゴンがこの世に存在する。それを成人前後で知る。革命だった。
すぐに最寄りのバクのいる動物園を調べた。
まあまあ離れた場所だったので、その時を待った。
数年前、時が来たのだが、記録的大豪雨。交通網が遮断され断念。
それ以来まだ会えていない。
会えていないので、私の中ではバクは今でも動物ではなく幻獣である。
今年こそは会いに行こうとも考えたが、
そのとき降った雨は、バクが私にまだ夢を見させてくれるために降らせたのかもしれない。
バクは夢を食べるだけではなかった。
私はまだ夢を見れている。
tennguman