バベルに問う

攻撃力1300、守備力2000、ホスピタリティ精神0

バベルに問う

BUMP OF CHICKENの話がしたい私の話

私は去年まで本当に何も無いド田舎に住んでいまして、そんな暮らしを変えようと今は東京の皆さんが想定できるぐらいの田舎(私にとっては大都会)に住んでます。

 

これは自分で決断してのことだったのですが、いろいろうちのめされた結果その決断が正しかったのか分からなくなり、前住所ではできなかったことをやろうと仕事帰りにケンタッキーのドライブスルーを利用することにしました。

しかし今日は突然の大雨ということもあり、大行列。ガラガラの店内を見つめ、(これは店に入って持ち帰りした方が絶対早いぞ)と思いましたが今日の私は車を降りずにドライブスルーの列に並びました。

 

なぜなら今日は水曜日。私はBUMP OF CHICKENの新譜「aurora arc」の発売日。降りるわけがありません。買いたての車でのんびりと昔から大好きなバンプの新譜を聴きながら待つこと以上に優先するいい時間の使い道は私は知りませんでした。

 

 

 

 

aurora arc

 

 

シングルや配信曲など、タイアップが盛りだくさんのアルバム。たしかにテレビを普段ほぼ見ない私でもテレビで流れていたのを覚えてる曲もありました。

きっと私ぐらいの年齢の人にとってバンプは特別な存在であって、タイアップしてるということは、これはとてもすごい商品、作品なんだ!!と一目置いて見る人は少なからずいるのではないでしょうか。映画とかもバンプが主題歌ってだけで、興味なさそうなないようでも見ようかな…なんて思ってしまいます。昔近所にあった岩永商店のババアがしきりに「郷ひろみでCM作ってもらいたいわねぇ…」って言ってたのを思い出した。「まずは期限切れのベビースターを売るのをやめてねババア。」お互いの希望は叶わないまま閉店したんだっけ。

 

 

 

spotifyバンプが登場したと知ったのはその新アルバム「aurora arc」の発売日の朝のことだった。

もちろんaurora arcも発売日当日にはもう配信されていた。地方なものでフラゲもできない私のようなものにはとてもありがたい。ちなみにアマゾンからCDが届いたのは3日後のことだった。

さっそく出勤時から久しぶりのアルバムを楽しんだ。

 

しかしバンプのアルバムってのは長い。当たり前のように1時間は越す。歴史上の人物なんて信長ぐらいしか知らん生徒が初めて習う日本史で戦国時代に入るまでぐらい長い。

職場に着くまでの間には到底聴き終わりそうにないので、帰りは寄り道しまくって帰ろうと決めた。そして話は冒頭に戻ります。

 

ドライブスルーを終えた私は遠回りしながら家へ帰っていたのですが、そこに流れてきたのが「話がしたいよ」という曲。出だし2秒で分かる名曲感。もう15年ぐらいバンプ聞いてんだからそれぐらいは分かった。

 

 

 

”どうやったって戻れないのは一緒だよ じゃあこういうことを思っているのも一緒がいい”

 

 

私は歌詞をそこまで重要視していないのですが、バンプの得意な感動を誘うサウンドと声に乗ると、歌詞を聞こうと思わなくても勝手に入ってくる。その内容も素晴らしかった。(まぁアルバム曲ではないのだけど)

大人げもなく、車の中でセットのコーラをチューチューしながらわんわん泣きました。

 

これを藤原さん以外の人が言っていても正直何も感じることはなかったでしょうが、思春期の大半をバンプに教わって生きてきた私の心はあまりにもバンプの前でだけは素直になるのです。

私はこれこそが思い出補正だと思います。

 

中学生の時、もっとも正直に心を開いた相手が目の前にいる友人ではなく、会ったこともない藤原基央氏であったのかもしれません。(その理論でいくと柴田淳に一番心を開いていたことになりますがその話はやめておきます)

ですので古くからの友人に会うのと同じで、バンプの楽曲を聞くと不思議と心が解放されて、社会で掠れ切った心も純粋な少年のような気持ちに戻るわけです。

 

 

こんなアルバムが無料(spotify一般会員等)で発売日に聴けるのってほんとどうかしちゃってると思います。

 

『まじでこの世の全ての音楽好きに教えてあげたいんだがspotifyには全ての人間を虜にするバンプのアルバムがある』

りょうくんグルメ構文が自然と出てきてしまう。

https://twitter.com/uryo1112

 

 

 

アルバム最後の曲を聞き終えると同時に家に着くように家の周りをぐるぐる無駄に回って家に着いたころ、職場の人から連絡があった。どうやら来週同じぐらいの年齢の職員だけで飲み会をするそうだ。

正直まだ出会ったばかりだし、フロア違いで仕事中に会うこともそんなにないし、仕事の内容が私と私以外ではまったく違うので、完全に話す内容がないのである。趣味も出身も知らない人ばかりだ...困った。ネット上ではこれだけ饒舌に語っているが、あまり知らない人との会話は本当に苦手だ。

仕事の話はしたくないし、仕事内容違うし、、

 

「そろそろ参議院選挙ですねー」→硬い。

 

水瀬いのりのInnocent flowerのイントロのトレモロの音が最高ですよね、あれだけでほどよい緊張感のような雰囲気が伝わってきてこの曲がアルバムにおける大事な役割を担っていることが伝わりますよね」→二度と誘われない。

 

 

バンプのaurora arc聴きましたか?」

 

 

 

 

 

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先述のとおり、spotifyなどの登場で地方格差なく、所得格差なく、音楽を本当に平等にみんなが楽しめる環境になっている。アルバム買うのはちょっと...どころかレンタルするほどではない...の人でもこれだけ気軽に聴けるのなら聞くでしょ。だってバンプだし。同世代だし。そしてタダで聴けるし。

 

「昨日のしゃべくり見た〜〜?」ぐらいのノリでいける!!ありがとバンプ!!

 

待った、念には念を入れてサカナクションの新譜も聴き込もう。

サカナクションバンプ。よし、勝った。興味なくても教養。絶対聞く。モスのイントロのダサさで1時間以上いける!

 

 

当日

 

どうやらみんなは知ってるけど、自分は初対面という人までいるみたいだ。やばい終わった。強く望むことが乗車権になるのなら、うまく話ができますようにという想いが私の乗車権になる。おいこの飲み会に知らない奴呼んでんじゃねぇ。

 

序盤はありきたりな会話でなんとか繋いでいたが、ついにあの話題を出す時が来た。

 

バンプ聴きますか?」

「ああ、聴きますよー!天体観測とか!!」

「天体....こないだ出たやつは...aurora arc...聴きました...か?」

「なんすかそれ」

「新譜だけど、spotifyとかで聴けますよ...?」

「なんすかスポティファイて^^;」

 

 

 

 

 

 

 


ミス BGM 星のカービィ(初代)

 

 

認識の差を思い知った。誰も悪くないんだけどね。

まぁたしかに逆に菅田将暉が出てる回のしゃべくりぐらい見ろよ!!とか言われても知らんしってなるよね。

 

 

 

 

ふと見たアマゾンのレビューを思い出した。

 

 

 

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こんなブログ見てるぐらいですから皆様はおそらくわかるかと思いますが、バンプのCDには初期からこのようにしてシークレットトラックが入っているのが醍醐味になっています。Spotifyでは聞けません。もうこんなの右足を出して左足を出すと歩ける!ぐらいの常識かと思っていましたが、たしかに何も知らない人にとってはそう感じでもおかしくない。

この方はネタでやってるわけでもなく、他のレビュワーから説明を受けて意図を汲み取って評価などをあとで訂正したらしいですが、常識ってやっぱ人それぞれなんだなとあたりまえのことを再認識しました。なんか道徳の授業の感想文みたい。

 

 

 

結局バンプの新譜もサカナクションの新譜の話もできないまま会は終了してしまいました。体調不良もあり話もうまくできませんでした。

 

会場をあとにして、二次会の流れになりましたが、帰ることにしました。お酒も飲んでいなかったので二次会組を次の店まで運んでやるよと乗せてあげたのですが、その時助手席に乗せたのが例の初対面の人だったのです。

 

初めての会話もその時でした。

「車かっこいいっすね!」「こないだ買ったんですよ、いいでしょへへ....」

 

....

 

あ、じゃ、出しますね...

 

エンジンをかけると、bluetooth から勝手に音楽が流れる。

 

あ、やばい。

 

流れたのはさっきまで聞いてたけど今は思い出したくもないバンプの「話がしたいよ」

話がしたいのはこっちだよ藤くん。

 

 

 

 

 

 

 

初対面の人がテンションをあげた。

 

「あ!これバンプの新しいやつじゃないですか!これめっちゃいいっすよね!!」

 

 

 「おっ!!バンプの話します?」

 

 

 

きっとこれからこのアルバムを聞くときはこの日のことを思い出すと思います。

 このようにしてaurora arcに一つ目の思い出補正がかかりました。

 

 バンプの話がしたいだけの私が他人同士だった友人と分かり合えた昨日のことです。

 

 

 

 


BUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」

 

 

 

 

 

tennguman