バベルに問う

攻撃力1300、守備力2000、ホスピタリティ精神0

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脳内水瀬いのりインタビュー 声優だからこそ到達できた音楽ジャンルを超えるニューシングル

水瀬いのりが通算8枚目となるシングル「ココロソマリ」を2月5日にリリースする。

昨年4月に発表された3rdアルバム「Catch the Rainbow!」以来10ヶ月ぶりの新曲となる今作は、表題曲「ココロソマリ」がテレビアニメ「ソマリと森の神様」(1月よりTOKYO MXほかで放送)のエンディングテーマとして起用されている他、音楽ジャンルにとらわれない全3曲が収録されている。

昨年の自身初となる2DAYSの日本武道館公演では2日間で1万8千人を魅了し、アーティストとしての活動にもより一層の注目を集める彼女に、仕事ですり減って心の調和を乱した脳内で話を聞いた。

 

取材・文 tennguman

 

 

家族への愛って身近なようで一番言葉にしないこと       

 

──まず、表題曲「ココロソマリ」は前作「Catch the Rainbow!」以来の2回目の自身での作詞になりますが、ファンへの感謝を歌った「Catch the Rainbow!」とはまた違ったテーマの曲だと思いますが、どのような気持ちで作曲へ臨まれましたか?

 

やっぱりアニメのテーマが生命や家族愛をテーマにしているので、そのテーマを大事にしながら作詞しました。命がテーマとなると少し重たくなってしまいがちなので、そうならないように、自分の気持ちを中心に表現するようにしました。作中のソマリの気持ちもそうですが、私の家族のことも思い浮かべながら作りました。

 

──家族愛といえば、私の両親はあまり厳しい親ではなく、私が警察にお世話になって、午前4時に署に身柄引き取りに来てもらった時も「さて、ヤンチャな我が子にコーヒーでもおごってもらうか」というダンディな言葉ひとつだったぐらいの親だったのですが、なぜか扇風機つけっぱなしで寝るとすごい剣幕で「死ぬやろうが!!」と怒鳴られていました。扇風機による体温の低下は死に至ると信じている親でしたので、私はこれには反抗せず、素直に謝るばかりでした。これも今考えると「家族愛」だったんだなと思います。あ、続けてください。

 

家族愛がテーマになって初めて気づいたのですが、家族への愛って身近なようで一番言葉にしないことなんじゃないかなって思って、そう考えると、命がある間にたくさん気持ちを伝えておくことが大切だなと思えました。「Catch the Rainbow!」もそうですが、普段なかなか伝えることができない気持ちを歌にして伝えることに最近はとてもやりがいを感じます。

 

──「Catch the Rainbow!」が直接的な表現が多かったのに対して、「ココロソマリ」は文学的な表現が多いのも作詞家としての水瀬いのりの新たな可能性のように感じました。今後も作詞には挑戦していきたいですか?

 

そうですね。声優としての表現とは違って0から作り出すことになるので、より「自分」が出ると思うんですよね。そんな言葉たちを皆さんの前で伝えることができればと思っています。

 

──世の中には歌詞コンシャスじゃないリスナーすらも青ざめるほど歌詞が酷すぎる曲もありますからね。

 

 

 

今日も得意技発動 君なんか全然タイプじゃないぜの術


UNCHAIN / Never Too Late

しかもなぜ歌詞推しのPVなの…?

 

 

 

特売!!熊本県産 カリフラワー298円     

 

 

──暖かく丁寧に歌い上げる「ココロソマリ」から一転、2曲目の「僕らは今」ですが、これまた展開が多く6分半という過去最長尺※の壮大なロックナンバーとなっていますが、やはりライブを意識した楽曲になっているのでしょうか?(※水瀬いのりの楽曲で最長尺は「BLUE COMPASS」の6:34でした)

 

そうですね。作曲の藤永さんには以前からお世話になっていて、コントレイルとか群青とかアステリズムみたいに(「星屑のコントレイル」「三月と群青」「約束のアステリズム」いずれも過去作の藤永氏作曲のロックナンバー)今回もライブで盛り上がる曲をやりたいですねと話をしていたところ、いただいたデモがこの曲で、即、これだ!と思いましたね。コールアンドレスポンスとかウォウウォウとかッッワァワァ言うとことかいっぱいあるので、会場の一体感というか、また違った感動が生まれると確信しています。今回のツアーで披露するのがとても楽しみです。

 

──私は今まで散々いろんな音楽を聞いてきたつもりですが、ッッワァワァには驚きました。この曲を初めて聞いたのはスーパーで夕飯を買いながら聞こうと思って再生した時なのですが、約1分のスローテンポが終わって急にロック調に変化したときにあまりの衝撃にカリフラワー売り場の前で6分半ただ立ち尽くすことしかできませんでした。さらにサビ2回し目のブレイクからのッッワァワァを聞いたときには涙が滲み、後半の『believe in me believe in you〜』のところで涙が溢れました。あまりに壮大な展開に私の人生のエンドロールが下から上に流れていくように感じました。まぁこんなところでエンドロールが流れても「特売!!熊本県産 カリフラワー298円」とかが下から上へ流れるだけなんでしょうけど。しょうもない人生なので3秒ぐらいでクレジットが終わります。

 

はい。

 

──そしてこの6分半の締め括りは「僕らは今」というタイトル回収の全力のシャウトで幕を閉じます。「ココロソマリ」のタイトル回収の仕方も2番の途中で、さらに楽器が止むというプロのタイトル回収屋がいるなと匂わせるほどの素晴らしさで、心染まりすぎて京都きもの友禅でしたが、「僕らが今」の6分半という長尺を最大限に利用し、最後の最後に回収する技法、シンプルかつ最も効果的。すべての楽曲はこうすべきなのではないかと錯覚に陥るほどのハマり方でした。今の私が国歌独唱するのであれば「苔のむすまで」の後に「君が代はーーー!!!!」とアレンジで入れてしまいそうです。

 

「僕らが今」の作詞は「TRUST IN ETERNITY」を作詞していただいた岩里祐穂さん岩里祐穂さん!最近の作品だと坂本真綾さんのニューアルバム「今日だけの音楽」の中に収録されている「ディーゼル」の作詞も岩里さんでしたね。福島原発の事故で故郷に帰れない人々に許された1日だけの帰郷という隠されたテーマを持つ、情景が目に浮かぶ、心を揺さぶられる歌詞が印象的でした。にお願いしたんですが、ライブを意識したコンセプトをお伝えしたらこのような形になりました。『数えきれない光がひとつになる 僕らは今』ライブにも当てはまる歌詞で、ますます会場の一体感を強めてくれる気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

  プロのタイトル回収屋の仕事

 

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輪るピングドラム18話より。

紹介はしたいがネタバレはしたくない。全24話毎回「僕らは今」状態。見て。

 

 

 

 

 

 

こいつをSランクで倒さないとサイトスタイルにはなれない   

 

 

──最後に、3曲目の「Well Wishing World」ですが、バイバイという歌詞が印象的で別れの歌と思いきや、『また出会えるでしょう』と前向きなところもあるメッセージ性の強い楽曲という印象ですが、これはどういった曲なのでしょう?

 

この曲はラブソングではあるんですけど、ライブを見にきてくれたお客さんたちに向けたメッセージでもあるんです。別れは寂しいけど、また会えるよと明るい気持ちでバイバイできる曲になっています。ライブでも同じような気持ちになりますよね。

 

──ライブの最後にこの曲が来ると、次の日からも生きる活力が沸きそうです。この曲の水瀬さんは今までの楽曲にはないまた新たな歌い方に聞こえました。声優という職業の特徴といいますか、歌い方の幅がとても広いですよね。この曲ではラジオで聞く普段の喋りのイメージに近い歌い方だなと感じました。歌詞もなんとなく水瀬さんらしいというか…そのへんも意識していますか?

 

そうですね、他の2曲と違いを出すために、この曲は明るさや多少のラフさを意識して歌いました。この曲を作ってくださった栁舘周平さんは、以前にも「Ready Steady Go!」のカップリング曲の「Winter Wonder Wander」を作っていただいて、WWWシリーズの2作目になります。

 

──WWWシリーズの3作目にも期待ですね。

 

シリーズ2作目のWWWといえば、やはりロックマンエグゼ2のWWW(ワールドスリー)エリアのプラネットマンであろう。

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ロックマンエグゼ2といえば、プリズム+フォレストボムの所謂プリズムコンボがゲームバランスを崩壊させていたが、そのコンボに怠けてプレイヤースキルを磨かなかったプレイヤーが詰むボスの筆頭がこのプラネットマンだ。本体の周囲は全て穴が開いており、プリズムもフォレストボムも投げ入れることができないのである。このボスを真面目に倒そうとするプレイヤーは決まって全ボスをSランクで倒すともらえるサイトスタイルの入手が目的であるが、紙飛行機みたいな攻撃がとても被ダメしやすい。Sランクで倒すためにはとにかく被弾回数を0もしくは1程度に抑えなければならない。ダメージの大小は関係なく、紙飛行機攻撃のようにダメージは少なくとも当たりやすい攻撃はSランクへの大きな障害となろう。

 

 

 

──最後に、今年は全国5公演のツアーも決定しています。さらにアーティストデビュー5周年の記念の年にもなりますが、今年はどのような年にしていきたいですか?

 

今回のツアーでは行ったことのない箇所もあるので、はじめましての方達とお会いするのを楽しみにしています。もうデビュー5周年なのかって正直なところあまり実感は沸きませんね。5周年企画として、まだ詳細は決まっていませんが、何か特別なことができたらいいなと思っています。

 

──(多分イオンモールツアー※だ…)

 

 

イオンモールツアー

結成20周年を迎えたクラムボンが全国5箇所のイオンモールでライブを行ったツアーである。ベースのmito氏が放った「イオンも立派なライブハウスですね」はイオン史に残る名言として今なお語り継がれている。

 

 


水瀬いのり「ココロソマリ」MUSIC CLIP

 

 

 

 

 

 

ナタリーの人見てたら仕事ください。もしくはカプコンの人。

 

tennguman